liberty 2
    New Album "COMFORT 2" 2023/4/30 release


M3-2021春 終了報告・新譜アルバム『LIBERTY 2』各曲コメント

4月25日(日)M3-2021春即売会におきまして、新譜アルバム『LIBERTY 2』を発表しました。厳しい情勢下にもかかわらずご来場くださった皆さま、CD通販・ダウンロード販売等で新譜をお手に取ってくださった皆さま。ありがとうございました!

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CD通販はバター工房オンラインショップで取り扱っています。

batakobo.stores.jpダウンロード販売/サブスクは各種ショップで取り扱っていますので、詳細はアルバム特設サイトにてご確認ください。主要どころのページは以下に貼っておきます。

LIBERTY 2

LIBERTY 2

  • Keita Kawabata
  • ワールド
  • ¥2037
LIBERTY 2

LIBERTY 2

  • batakobo
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 本アルバムの発表にあたっては、発売一週間前に告知配信を行いました。アルバムタイトル、ジャケットビジュアル、収録曲の発表の空気感をお楽しみいただけます(笑)。なお簡易的なライブではありますが、「In Reality」「80」「Liberty II」「Oval 35」「Solid Blast」の演奏もしています。


www.youtube.com

各曲コメント

1. Liberty II
2. Oval 35
3. Clash at the Party
4. 間奏曲第3番
5. 80
6. In Reality
7. Grand Madam
8. Destino
9. 真白なる朝
10. Solid Blast

即売会のフリーペーパーにも書きましたが今作はなかなかの難産で、期日に合わせて何とか捻り出したような曲集でした。その分、サウンドとしては悪く言えば隙があるというか、daybreakやmissingの完成度からは一歩引いた青さみたいなものが戻ってきているところがあります。近年の洗練されたサウンドを好んでくださった方はアレ?と思われるかもしれませんが、その分Solid Blastのような攻めた音楽も躊躇なく収録できたとことがポイント。LIBERTYというタイトルからも窺えますが、統一感よりも個々の楽曲の個性を取った曲集と言えます。これを一回出しておくことによって、次にまた完成度・コンセプトを重視した作風に回帰する布石になる予感がしています。

それでは一曲ずつ触れていきましょう。

  • Liberty II

アルバムタイトル曲で、今作の方向性を規定してくれた一曲。ジャケットの青いビジュアルも、この曲と相互作用しながら生まれました。IIと銘打っておきながらLibertyという曲はないですが、音楽的な関連は無いとはいえLiberty Marchに連なる存在としてのIIといえます。前向きな性格は同じということです。

音楽としてはシンプルかつシンフォニック、柔らかで後半は分厚くやや感傷的に盛り上がるスタンダードな一曲。ピアノソロのクラシカルな演奏会にも合いそうな一曲です。

  • Oval 35

昨年秋に原型が生まれた曲で、映像音楽のアイディアとして書いた曲想の一つから作りました。柔らかなイントロからのドラスティックな盛り上がり、取り留めのない構成は、本来は映像がバックにあったからこそのものです。とはいえ、構成を拡大すればポップ・インストゥルメンタルとしても成立する一曲です。

90年代サウンドのエッセンスも、音楽単体のコンポジションではなかなか着想しえないところ。その点でも面白い一曲で、既にピアノ配信でも多く取り上げています。

  • Clash at the Party

告知配信でも言及しましたが、この曲とDestinoはかなり古い楽曲で、おおよそ10年程の時の隔たりがあります。アルバム・ライブにおいてピアノ・インストゥルメンタルのストイックな性格の楽曲が休みなく続くことに関して何らかのブレイクを入れたいという考えがかねてからあり、今作のアルバムでは2つの中間地点、3曲目と8曲目に性格の異なる楽曲を配置しました。突然のコミカルさに驚かれた方、こういうこともあります。

ストーリー性のあるシミュレート=オーケストラ曲で、ピアノもアコースティック録音ではないですが生演奏ベースでプロダクションしています。

  • 間奏曲第3番

要はIntermezzo IIIですが、なるべくわかりやすい曲名をという考えから日本名にしました。この考えは他の曲にも適用したかったのですが、今回はこれのみにとどまりました。もっとも「インテルメッツォ」の言葉はカタカナ書きで使ってもよかったかもしれませんが。楽曲としては小さなチェンバロ・ソロです。

  • 80

2019年春のシングル。直前にアグレッシブなmissingというアルバムを出していますから、反動で非常にスローな一曲となっています。こういう曲をシングルにするのはなかなか勇気がいるところでもあるのですが、時間をかけた音選びや録音の流れは演奏効果以上の労力がかかっています。ピアノのほか、スレイベルも生録音しています。

  • In Reality

2019年秋のシングル。シングルが二連続する濃厚なアルバム中間地点です。スパニッシュなアコースティック三重奏ともいえますし、メランコリックな民族風楽曲ともいえます。直近に民族音楽に触れる機会が多かったことからのインスピレーション。楽曲のタイトルは同年夏の札幌コンサートにおける公募をもとに決めた経緯があります。

  • Grand Madam

シングル「Across the Bridge」収録曲で、アルバムへは初収録となります。ヴァイオリンとピアノの小さな二重奏曲で、クラシカルで非常に穏やかな曲想です。こんなに毒のない曲を書くことはあまりありませんが、年とともにこういう曲を書くことは少なくなくなってきている感もあります。

  • Destino

これもClash at the Partyと同じシミュレート=オーケストラで、さらにクワイアを加えています。歌詞はなく、いわゆるヴォカリーズ。聖歌風の編成でもありますが、どちらかというとRPGのダンジョン楽曲として書いた側面が強いです。

  • 真白なる朝

私の書いたピアノソロのなかでは一、二を争う音数の少なさかもしれません。音楽としてもC Durの曇りない・奇を衒わない曲想で、透明感のある一曲に仕上がっていますが、あまりに静穏なので空虚感すらあるというか、穏やかなはずなのに悲しくなるというご感想もいただきました。決して後ろ向きな気持ちで書いた曲ではないのですが。

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  • Solid Blast

2020年のシングルが終曲です。どこに入れても突然の変拍子プログレッシヴ・トリオはアルバムの冒頭か最後のどちらかしか選択肢がなかったのですが、頭でっかちではなくラストに大作を持ってくる自然な成り行きとなりました。音楽的には自然な成り行きはどこにもなく一筋縄で行かないところですが、作曲者本人にとっても刺激的で有り続ける曲というのは、そう多いものではありません。