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daybreak
New Album "daybreak" 2017/4/30 release


最近買ったCD

前に購入CDレビュー記事を書いたのは2014年6月ということで、半年以上の間が空いてしまいました。本当は年が明ける前に書きたかったのですが、間に合わず。というわけで相変わらず全然「最近買ったCD」じゃないのですが、時間のある年始の間にまとめ書きしてしまいます。

龍馬伝 オリジナルサウンドトラック Vol.3/佐藤直紀

個人的に大好きな龍馬伝サントラの第三作。前二作は比較的早い段階に買っていたのですが、最後の三作目を買うまでには結構時間が空いてしまいました。単なるスタジオオーケストラのBGMではなく、ハリウッド風のリズムトラックや、民族楽器、声など、多様な楽器を駆使しているところが良い(佐藤さん自身が意識的にいろいろな音色を使ったと仰っていた気がします)。自分がその時代に入り込んでしまったかのような、緊張感とリアリティの溢れる演出のドラマには正にぴったりな音楽だったように記憶しております。

個人的に挙げたいのは「とつくに」。バンドネオンを中心に繰り広げられるシリアスで高揚感のある音楽は、異国の風にさらされる日本の雰囲気にマッチして、非常に格好良かった。他ではスパニッシュギターで聞かせる「反逆者」、かき鳴らされるストリングスが急転する時代を感じさせる「これあらた」、Yuccaさんの歌声が美しい「龍馬伝紀行4」などが特に良いでしょうか。また「白亜の徒」の陰惨な世界観も特筆。恐ろしく、身の凍るようなサウンドです。

アガタ/コンボピアノ

AGATHA

AGATHA

アコースティックなピアノインスト。歌も入っているのでインストとは言えないかもしれませんが、英語詞かつそこまで主張する歌ではないので個人的にはインストに近い音楽として受容している気がします。

1曲目の「Cheap Imitation」をはじめ、印象的なピアノリフに乗って洒脱なサウンドを広げる曲が多いですね。ピアノ以外に弦やサックスなどの楽器も効果的に用いられています。

コンボピアノは以前お仕事をさせていただいた映画監督さんから教えていただいて幾つか聞いたことがあるのですが、一曲のなかで気まぐれにテンポを変える曲が多い等、かなりフリーな音楽という印象があります。その点このアルバムの曲群はそこまででもないので、比較的BGMとして聞きやすい傾向があるかもしれません。

Opus 4/浜渦正志

Masashi Hamauzu: Opus 4 - Piano and Chamber Music Works

Masashi Hamauzu: Opus 4 - Piano and Chamber Music Works

浜渦さんソロワークの最新作は、ピアノのための超絶技巧エチュード12曲(Op.4)、3曲から成るヴァイオリン・エチュードであるAtmospharen(Op.1)などが収録された室内楽集。

エチュードOp.4は最近の浜渦さんのピアノ曲ではお馴染みの若手ピアニスト、ベンヤミン・ヌスのために書かれたということもあり、意識的に技巧的な曲が多くなっています。12月に楽譜が発売され、私も大阪のコンサート会場で入手しました。全部を弾くのは不可能ですが、やはり各曲への理解はぐっと深まりました。自分がピアノを弾くため、やはりこういうスコアの存在はありがたいですね。

特に難しそうなのは連打や細かい動きが要求される1番と2番、機械的な動きが要求される8番、難解な曲想である9番(副題のDonnergrollenは雷鳴の意味のようですね)、様々なスタイルへの理解が必要な11番あたりでしょうか。最もシンプルな譜面はテンポも緩やかで緩徐的な役割を果たしている6番ですが、こういう緩やかな浜渦さん曲ではお馴染み?の左手の10度音型が頻出し、別の難しさをもたらしています。

中間部に左手の肘と手のひらを用いたクラスター奏法が登場する11番については、楽譜で一つ一つの音が丹念に明記されているのが面白く、私のツイートも方々でインパクトを残したようです。緻密な譜面に無用なエンターテイメント性を与えてしまったかも?と少々反省しましたが、浜渦さんの最新作が少しでも(特にゲーム音楽作品しか知らない方や、そもそも浜渦さんを全く知らないクラシック畑の方などに)広がったら良いなと思います。

Atmospharenについては、特に1曲目の透明感溢れるサウンドが美しく、至上の旋律だなと感じました。3曲目やImpromptu Furiosoの勇壮かつ流麗な世界観も見事。Frenzy Under Pressureでは、浜渦さんの作品ではちょっと珍しい、胸を突くような哀愁を聞くこともできます。

最後のMissgestaltのピアノソロ版(浜渦さん自身によるリアレンジ)は、途中にFeldschlacht IVやTodesengelの旋律が織り込まれているところがファン心をくすぐります。最初からマックスのテンションで入り、コーダに向けて一層爆発を高めていくベンヤミンの演奏は圧巻。この演奏を1日のコンサートで昼夜の2回やってのけてしまうのは、私にはちょっと理解できません。

ポレットのイス/浜渦正志

短編アニメーション映像に付けられたBGM。Opus 4と同じような室内楽の世界観を聞くことができますが、映像の世界観に合わせて一層明るく爽やかな、しかし上品な曲群です。5曲から成るサウンドトラックと、全曲のピアノソロ・リダクション版を収録してあります。リリースと同時にピアノソロ版も書き上げてしまうところに、浜渦さんの思い入れを感じますね。

アナと雪の女王 オリジナルサウンドトラック/R.ロペス 他

言わずと知れたアナ雪のサントラ。メインチューンとしての「Let It Go」がここまでヒットしたというのは、現代人は皆エルサ側の心情に寄っているということなのでしょうか。英語版を歌うイディナ・メンゼルは個人的にはどうしてもミュージカル『RENT』のモーリーンに見えてしまうため、ここまで上り詰めたのだなぁ…という心情が勝手に湧いてきます。正直、映画を観に行ったときにはイディナが歌っているというのを知らなかったので、演技や歌唱をそこまでしっかり印象に残すことはできなかったのが心残り!地上波に降りてくるまで待ちましょうかね。

楽曲としては…「Let It Go」は今更語るまでもないのかもしれませんが、これだけのヒット曲でありながら全体的にはマイナーな曲調である、というのは明記しておいてよいかもしれません。そこからサビに向けて視界が開けていくのは楽曲の展開としても王道で爽快ですが、映画のストーリー的にはまだ序盤であり解決に結びつく内容ではないので、ますますヒットしたのは不思議な気がしました。単に楽曲(と歌詞への共感)が一人歩きしたということなのでしょうか。

個人的にはオープニング・ナンバーである「Frozen Heart(氷の心)」が好きです。プリミティブな要素を感じさせる意外な序曲、それでいてストーリーの骨子も含む楽曲という、ある種の武骨さに惹かれるのかもしれません。あと、ちょっとだけFF9の「いつか帰るところ」に似ている(笑)。

FINAL FANTASY REMIX/植松伸夫・Ante

FINAL FANTASY REMIX

FINAL FANTASY REMIX

だいぶ前に出たFFの公式リミックス盤。発表当時は原曲をばっさばっさと切り刻むアレンジにノイローゼを起こし、全くノーマークにしていたのですが、ここに来て逆にそれくらいの「原曲にとらわれないアレンジ」が聞いてみたくなり購入。

そもそもリミックスというのは楽曲のフレーズを切り貼りし、テンポも和声も全然違う方向に持って行ってしまうので、自分が普段している音楽とは全く別物だというのを強く感じます。音楽の解釈というのは本当に人それぞれなんだというのを感じますし、とかく原曲重視を掲げすぎる自分にとっては、たまにこれくらいの斬新なアレンジを聞くことで自分の音楽性をニュートラルに保てるのかもしれません。

個人的にはRonfaureのアレンジが一番好きです。比較的元のイメージを壊さない方向で、原曲の世界観を広げているからだと思います。

バルトーク:ピアノ・ソロ作品集1/Z.コチシュ(ピアノ)

自分が習っていたピアノを辞める直前、中学1年のときに最後の教室内演奏会で弾いた曲がバルトークの「ソナチネ」でした。聞いたことのない旋法を新鮮に思ったのを覚えています。

ネットでバルトークピアノソナタを聞いて、本当はそれが含まれている曲集を買うはずだったのですが、ふとソナチネを見つけてこちらに手が伸びてしまいました。ピアノソナタの方もいつか買うことになると思います。というかソナチネを聞いていた頃は、こんなに斬新なピアノ曲を書いている人だということをまだ知らなかったのです。

カプースチンピアノソナタ第4、5、6番・10のバガテル/N.カプースチン(ピアノ)

カプースチン:ピアノソナタ第4番&第5番&第6番

カプースチン:ピアノソナタ第4番&第5番&第6番

2000年代にカプースチン・ブームを生んだのは概ね作品50ぐらいまでの、クラシックとジャズを融合しつつも親しみやすいメロディーとビートを持った楽曲群と考えられますが、この時期はちょうどカプースチンにとっても実験的な作品が多く生まれていた時期。ピアノソナタについても、厳格な4楽章形式の大曲である1番・2番に比べて、3番以降はもう少し自由に、かつ新しい書法が試されています。

このCDに収録されている3つのソナタについてはいずれも3楽章形式。4番・5番はともにキーンと冷たさを感じさせるような硬質な響きを持っており、個人的にはときどき無性に聞きたくなります。そのなかでも5番の第3楽章は、硬質ななかに跳ねる音型を中心としたちょっとした「明るさ」が差し込まれており、独特な味わいがあって好きです。6番はそれらに比べると全体的に親しみやすい曲調への回帰を見せており、特に第3楽章は要所要所でハイテンションな伴奏型・ビートが顔を見せ、演奏意欲を刺激します。

10のバガテルはカプースチン自身が(普段はいかに弾きやすく作るかということに腐心している[!?]と前置きした上で)意図的に難しく書いたと述べている通り、親しみやすい曲調にだまされて譜面を開いてみると絶句するという曲集。超絶技巧というほどではないかもしれませんが、バガテルというよりはエチュード的な側面の方が強いのではないかとさえ感じさせます。苦心して演奏してもバガテル的な取るに足らない印象しか残さないとしたら、ちょっと効率が悪いというか、苦労を惜しまない人のための曲集ではないでしょうか!