daybreak
New Album "daybreak" 2017/4/30 release


VUTTERリアル生放送第9回 終了報告

VUTTERリアル生放送第9回(ピアノスタジオノア吉祥寺)無事終了いたしました。ご来場いただいた皆さま(ご検討くださった方も含め)、ありがとうございました。

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リアル生放送は、大雨の大阪リア生をはじめ雨に見舞われることが多いのですが、今回は猛暑に見舞われるということになりました。なかなか丁度良い気候とは行かないものですね。もっともオリジナルのライブと違ってラフな格好で臨めるので、私にとっては相当にやりやすかったのですが。

・参加者:11名(VUTTER含む)
・参加料金:13,932円÷11名≒1人あたり1,200円
・演奏時間:1枠30分×3枠
・その他:イベント後に懇親飲み会あり(吉祥寺・自由参加)

利益を目的とせず、継続性のために分担徴収とするいつもの形を取らせていただきました。皆で費用を出し合って公民館のスタジオを取って集まる、サークルや仲間内の発表会のようなイメージが一番近いですね。

曲目

1枠目を始める前の開場中の時間帯は、板付きで浜渦さんのエチュードOp.4-3、4-4やマリオオデッセイの「アッチーニャ」「スチームガーデン」等を弾いておりました。

1枠目

・時の傷痕~時の草原~夢の岸辺に(クロノクロス

スーパードンキーコングいろいろ弾いてみた(タイトルロゴ~バナナジャングル~サンゴの海~ふぶきの谷~オイル工場~キングクルールの船)

・バトルテーマI~バトルテーマEX(アンリミテッド:サガ

時の傷痕~時の草原のつなぎにはクロノ・トリガーのメインテーマの要素を入れながら。リクエストいただいた順番としては「夢の岸辺に」が先でしたが、曲の関連から時の草原を先にしました。

キングクルールの船の冒頭の平和な音楽の箇所は、タイトルロゴの後半、いわゆる初代ドンキーコングのタイトルテーマとの関連を強調する珍しいアレンジに。

2枠目

・Overture(オペラ座の怪人)~上海紅茶館~Compression of Time(FF8)~N-Chart(IMERUAT)

・勇気ある戦い~敢然と立ち向かう(ドラクエ6

・Feldschlacht IV~Missgestalt(サガフロ2

Overtureはいわゆるオペラ座の怪人の劇中で怪人が登場するシーンの曲「The Phantom of the Opera」ではなく、物語冒頭のシャンデリアのシーンといえば分かりやすいでしょうか。どちらかといえばクラシック寄りのアレンジなわけですが、楽曲後半では「The~」の持つビート感も打ち出しての演奏にしました。2004年の映画でも同じようなコンセプトのアレンジが成されていますね。


 上海紅茶館にシームレスでつながったのは、一方でオペラ座の怪人の持つクラシックの部分、耽美さ、と親和性が高かったからのように思います。

しかし、The Compression of Timeとシームレスにつながったのは、意外でした。あえて分析するならば、メジャーセブンコードと、楽曲進行的に半音ずらして転調して盛り上げていく過程でCompression of Timeのf mollの調性につながったというだけなのですが。さて、懇親会でも話題に出ましたが、私はこの曲を何故演奏動画として仕上げたのか、自分でもよく分かりません。この曲を撮りにスタジオに出かけたのではなかったはずですし。ただ、MIDI全盛期の1990年代後半に、私がFFの曲をたくさん耳コピしていたなかで、この曲は唐突なサクソフォーンのイントロで、別な意味で印象的だったのは確かです。何故この音色?何故このイントロ?しかし時間圧縮のシリアスかつ急転的なシーンと不思議と溶け込んでいる。今回は、その唐突さ、ぶっきらぼうさ、ドライさ、をピアノで表現する一環で、ソステヌートペダルを使って乾いた音と、その隙間を埋める白玉の豊かな響きを共存する試みも行いました。上手く行った面とそうでなかった面があったように思いますが。この曲の演奏動画は海外の方にも好評で、意外なことだらけですが、演奏動画をやっている身としては、しかし一番面白い、やりがいを感じられる案件だったと言えます。


そんなコアな試みを投じた一連のメドレー群に、さらにN-Chartを足してしまったのは蛇足でしたが、弾いているときは「この流れなら行ける!」と感じてしまったのが正直なところ。魔が差したといったところでしょうか。増四度の関連からCompression of Timeとつながってしまった面もあります。IMERUATは浜渦正志さんがアイヌのシンガーMinaさんと組んでユニット。ご存知ない方のためにSoundCloudのデモを貼っておきますが、N-ChartはIMERUATのなかではかなり異質なサウンドであることは付記しておきます。

ドラクエ6の戦闘曲群は冒頭に一瞬フィールド曲をはさみ、エンカウント音の導入から。また、最後にエンディングの「時の子守唄」のエッセンスを。時の子守唄の静謐な世界観と、時折顔を見せる大陸的なフォルテッシモが緻密に折り重なる様は、弁当箱に詰め込むように少しずつお見せするものではなく、もっと大々的に取り上げるべきだったのですが。この名曲が、本来はドラクエ6のために書かれたものではないという点も、つくづく付随音楽の難しさ、不思議さを内包しているように思います。


Feldschlacht IVの前には、散水塔のBGMであるFreiluftmusikのエッセンスを。必ずしもFeld IVと唯一的に結びついているわけではないのですが、どうしてか弾かずにはいられなかった。やはり石切場などに比べて、散水塔が限定的な描かれ方をするからなのかもしれません。また、Missgestaltの前にはもちろんNachtigallを挿入いたしました。

大変な余談ですが、拙作「Triple Tap March」は、このFreiluftmusikの影響を色濃く受けているなあ、と今更ながら感じます。

Triple Tap March

Triple Tap March

  • provided courtesy of iTunes

 3枠目

・ジークロック(ゼルダの伝説 風のタクト

・女神の騎士(FF13-2

・疾走(FF13-2

・最後の大地(LRFF13

・宿命への抗い(FF13

・Far Saa Far(IMERUAT)

・Horizon~Valse di Fantastica~Somnus(FF15

ヘルファイアサバンナ(ドンキーコングトロピカルフリーズ)~どろどろタールフォールドンキーコングリターンズ

・メインテーマ(スーパーマリオ64

ジークロックは大好きな曲ですが、こういう破格のコード進行で掴みにくい曲は本当に弾けません!というわけで原曲を流しながら私が一音一音探るというリア生史上あまり例のない不思議な光景となりました。アンケートを拝読すると意外とそんな絵面も面白かったという声もいただけたのですが、私としてはあの空間が何度もあると気まずいです。

気を取り直して女神の騎士と、その後は私が個人的に弾きたい曲を中心に演奏させていただきました。まずはFF13-2つながりで「疾走」。この辺りの楽曲については下記の過去記事で詳述しておりますので是非ご覧ください。

batasan.hatenablog.com

「最後の大地」はウィルダネスの朝のBGM。作曲者は疾走と同じく水田直志さんですね。FF13は浜渦さんの言葉を借りれば「シュッと」していて、FF13で希少な原生的大自然を体感できる「サンレス水郷」「アルカキルティ大平原」でもBGMには電子的な音やビートが入ってしまっているのですが、この「最後の大地」で初めて真の原生感というか、誤解を恐れずいえば「ドラクエ的」な、クラシカルなフィールド音楽が味わえるわけです。乾いた喉が潤されるような感覚に陥ったと記憶しています。同じ意味ではウィルダネスの夜のBGM「獣たちの夜」もオススメ。


「宿命への抗い」は、コーラス無し版をバックに再生しながらのピアノ合わせ。私、過去に「プレイ前と後で最も印象が変わった曲」として、この曲を挙げております。最近のゲーム音楽はオーケストラやら合唱やらの労力が注がれた曲は五万とあり何ら珍しくないわけですが、そういう楽曲が物語中でしっかり映えていたというのは、やはり演出が効いていたのでしょう。

Far Saa Farはイントロの浮遊感のあるシンセリフから広げたアレンジでお届け。

FF15の3曲はHorizon(朝の目覚め)から始まり、フィールド(本来フィールドで流れるワルツはもっと遅いテンポの版ですが)、Somnus(タイトル画面)という流れ。「APOCALYPSIS NOCTIS」も用意してあったのですが、重厚なコーラスを伴う戦闘曲を直前に披露したばかりだったこともあり、やめておきました。


Wii以降のドンキーコングは、SFC自体のような洋ゲー感あふれる大人好みの世界観とは違い、ある種ディズニー的な、一種大げさなスペクタクルが長所となります。しかし子供向けかというと大変な高難度のコースも多く、ライフを大量に与えておき、初見殺し・死にゲー・覚えゲーで後はよろしくといった放り投げ感も否めませんが・・・ボリュームはSFC自体の何倍もあり、大変な労力が注がれていることが分かりますので、安易に「昔の良さが失われてしまった」というだけで、頑なに良作に触れないような姿勢もどうかと思いますので、こうして取り上げていくわけです。今回は「ヘルファイアサバンナ(Scorch 'N' Torch)」「どろどろタールフォール(Sticky Situation)」の2曲ですが、風景描写と音楽のマッチングの良さという意味ではSFC時代と大差ありません。


とにかく3枠目はセルフリクエスト中心でやらせていただきました。マリオオデッセイの「月の地下洞くつ」等、絶対弾くはずだった曲を綺麗に忘れてしまっていましたが、それはまたの機会に。

最後に

放送中にも触れましたが、昨今は良質なゲーム音楽アレンジが世の中に溢れかえっていて、あえて自分が労力を割く意味を希薄になってきている面があります。まして皆さまのゲーム音楽アレンジを観る目も肥えてきているでしょうし、二年以上も間を空けて行うリア生ということになりますと、アンケートに酷評が溢れかえってもおかしくないかなと覚悟していたのですが、どうも杞憂だったようです。いただいたアンケートの内容を見ても、それは皆さまの優しさだけではないように見受けられました。

私自身、ゲーム音楽のアレンジを「やりきった」とは思っていません。一方で、スタジオにこもり、自分の満足のためだけにアレンジしようという気も起きません。やるからにはその音楽の良さを、聴いてくださる方と共有することが目的です。そのことを肌で確かめるためにも、またリアルの場に出ていければと考えています。