アルバム・ピント

アルバムを作るときにはどういう曲の並びにするかをあらかじめ考えておいて、その順に合わせて制作を進めるわけですが、実際に出来上がった曲を並べてみるとまた感覚が変わったりします。当たり前のように10曲目にあった曲が、実は2曲目の方が位置的に良いのではないか。そういうことを繰り返すたびに事前に考えておいた曲想は違うものになっていくので、どこかで区切りを付けないと完成させることが出来ません。納期と照らし合わせたときに、ギリギリまで粘って見えた一番納得の行く線がアルバムの最終型なのだと思います。
今作『DIGNITY』も類に違わず最終型は揺れ動き、今がまさに「ギリギリまで粘った」ところ。今一番納得の行く線が、最後に作るべき曲を決めます。一曲は静かめの曲、もう一曲はアップテンポな曲。前者が昨日突然浮かんだ曲想かと思えば、後者はアルバム制作前から浮かんでいたものの収録位置は当初の予定と全く違う。こうしてアルバムの全体像は突然輪郭を帯びてくるので、とにかくこの時期は近くに居すぎてピントが合いません。来週のマスターアップを経て、M3で皆さんの手に渡る頃合でようやくクリアな像が見えてきます。そのときの姿がどこまで自分の予想通りなのか、まだ分かりません。それが怖くもあり、面白くもある不思議なアルバム制作期。今一度佳境を迎えています。