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elementscapes
        最新アルバム「elementscapes」2015/4/26 release

9/18プレイングVUTTER 終了報告

ピアノ 作曲

「プレイングVUTTER」終了しました。ご来場いただいた皆さま、ありがとうございました!

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(開場前の様子)


私の作曲した音楽をプレイング浜渦有志の皆さまが演奏してくださるイベント。恐悦至極!こんなことは今後もそう無いと思いますし、いずれ人生を振り返ったときにハイライトとして心に刻まれることになると思う…みたいな大仰なことを言ってしまいましたが、それは一つの事実として。こういう機会を継続して持てるように良い音楽を作り続けていくこと、質を高めていくことが肝要という思いを新たにいたしました。

 

今回演奏していただいた曲について、一つずつ振り返っていきたいと思います。

  • 木の薫る町

奏者はいずみさん(@123s712)、かなもえさん(@kana_moe)、凛音さん(@rion19xx)。いずみさんの編曲により、鍵盤ハーモニカ3台のトリオで奏していただきました。

この曲が収録されているアルバム『elementscapes』自体がRPGのフィールド音楽を意識した楽曲群の集合体で、冒頭のこの楽曲は物語の最初の町のようなイメージで書いています。

郷愁のあるメロディと賑やかさが同居したような音楽で、民族楽器による土臭さのようなものもエッセンスとしては加えましたが、今回のトリオで鍵盤ハーモニカ3台の純然な音色にリダクションされたことで、民族楽器特有のある種の汚れ(あまり良い表現ではないですが)成分が削ぎ落とされ、どちらかというと西洋音楽寄りの、流麗な響きが強調されたヴァージョンになったと思います。

前日のリハでも聞かせていただきましたが、自分の楽曲の違う側面を見せていただけるのは存外に面白いな、と素直に思いました。どちらかというと自分の意図から音楽が変わるのは抵抗のある方なのですが、結構意識を変えるきっかけになったかもしれません。

  • Parallel

Parallel

Parallel

奏者はりもねさん(@rigura)。アルバム『PARALLEL』のタイトル曲で、なりたい自分となれない自分がなかなか交わらないもどかしさを描いたとでも言いましょうか、明暗の入り混じった曲調は個人的にも一、二を争うフェヴァリット。

この曲を結構早い段階で譜面をりもねさんにお渡ししていました。プレイング浜渦演奏会でりもねさんがFF13プレリュードピアコレ版を弾いてらっしゃったんですが、何故だかすごく感銘を受けたんですよね。うまく言えないのですが人生というか人となりがにじみ出ている演奏で。その要素が、Parallelの遠大な曲調に通じると無意識裡に思ったのかもしれません。

今回、結果的には音楽の専門家が集まったなかで、りもねさんだけは一般の方だったので、かなりの緊張を強いてしまって申し訳なかったのですが、素晴らしい演奏でした。一時はこの曲をトリにすることも考えていたのですが、それでも全く遜色のない完成度だったのではないかと思います。

  • Float Emotion / 感傷と夜想

こちらも『PARALLEL』収録曲ですね。演奏はいずみさん。曲順は本来逆が自然なのですが、Parallelの後にさらにバラードが来るとお客さんが聞き疲れてしまうので、このプログラミングになりました。


Float Emotion(2012) - Keita Kawabata(VUTTER)

Float Emotionは動画の通りビートを詰め込んだ曲なので、いずみさんがピアノソロでどのように仕上げてくるのか興味津々だったのですが、緩急のつけ方、ソリッドなビート、まさしくFloat Emotionでした。ベースラインが希薄なことで浮遊感を出している原曲ですが、バスドラム成分さえも削ぎ落としたピアノソロは、一層Float度が高まっていましたね。コーダに現れるポリリズムパートもしっかり再現されていて、さすがのアレンジでした。

感傷と夜想は元々いずみさんが演奏動画にしてくださっていたのですが、今回初めて生で聴くことができました。楽譜のない状態から耳コピで仕上げてくださったこともあり、曲に対する深い理解を感じました。また機会があれば取り上げていただきたいです。

  • 192 II

演奏は電鳥さん(@dentori)。エレクトーン奏者の電鳥さんがグランドピアノで舞台に上がられるという大変珍しいシーンを拝むことができました!

192 II

192 II

特に中盤付近からジャズ・テイストのリハモによる電鳥ワールドが展開され、楽曲の構成は保ちながらも新しい192 IIを打ち出してくださったように思います。今回取り上げていただく前から既に個人的にアレンジをされていたということで、この縦横無尽のアレンジも納得といったところでした。いつかエレクトーン・ヴァージョンも聞いてみたいですね。

  • Chamber Rock


Chamber Rock(2011) - Keita Kawabata(VUTTER)

演奏はかなもえさん。アルバム『VEIL』収録曲で、かなりの難曲をいきなりお願いする形になってしまったのですが、さすがの演奏でした。かなもえさんがFF10の襲撃をアレンジされていたときに、ピアノのズン!というアクセントをすごく芯の通った素敵な音で弾かれる方だな、というファースト・インプレッションがあり、今回のプログラムでどうしても補完したかったこのピースをお願いさせていただいたのですが、あのとき感じた心に響くフォルテシモを今一度体現していただけたな、と。

かなもえさんとのユニットは、私のピアノにかなもえさんの鍵盤ハーモニカ/ボーカルという2つの形態がありましたが、今回ようやくかなもえさんにピアノを弾いていただく形が実現できたと言えるかもしれません。

  • Invincible

奏者は凜音さん。こちらも『VEIL』収録曲です。お客さんもおそらく意表を突かれたであろうバックサウンドを流しながらの演奏で、しかもそのオケをご自身で打ち込まれたという!いろいろな要素が凝縮されたパフォーマンスでした。


Invincible(2011) - Keita Kawabata(VUTTER)

私の凛音さんのファースト・インプレッションはサガフロ2のTodesengelで、高音の煌びやかさと緻密さに圧倒されたのですよね。Invincibleの場合、メロディーを歌い終えた後に要所で高音のアドリブ・フレーズが入るので、そういった箇所で凛音さんのエッセンスを感じ取ることができました。

個人的には、中間部(動画でいうところの2分40秒〜)もリズムを多めに刻まれ、よりアグレッシブに演奏されていたのが印象的でした。自分で演奏するときにはどうしても感傷を感じながら弾いてしまう箇所なのですが、落ち込む要素や弱みを感じさせない、一層「強い」Invincibleに仕上げてくださったように思います。

  • 即興メヌエット / ヴァイオリンとピアノのための"Expectation"

演奏はPf:小鳥遊さん(@RisoLiso)、Vn:琴羽しらすさん(@syllasukotoha)。昨秋のシングル収録曲で、随分時間が経ってしまいましたが、これが初演となります。お二人とも録音に参加してくださったオリジナルメンバーです(発表時の記事はこちら)。

これも本来の収録順とは逆ですが、やはり演奏の第一部を明るく締めくくりたかったのでこの形にさせていただきました。小鳥遊さんの即興メヌエットが始まったとき、空間が一気にクラシックな雰囲気に染まったのが印象的でしたね。どちらかというと感性で作曲してしまう身の私ですが、こういうクラシカルなアプローチもときどき試していきたいと思っています。

そして"Expectation"。期待感をモチーフに書き進めた曲で、途中感傷もはさむ(というより感傷の部分の方が多い)楽曲ですが、実際に演奏披露の形になると感傷を込めたフレーズも明るさを湛えて聞こえたのは、一つの発見だったかもしれません。

デュオということもあり、生でこそ、繊細さも迫力も伝わる楽曲だと改めて感じました。大変な難曲に書いてしまったので自分で演奏することもほとんど不可能なこの曲、今回形になって本当に良かったです。ラストの和音でジャンと終わったときは痺れるものがありました。とはいえまだまだアンサンブル系の楽曲は未熟な点も多いので、これに満足せず継続的に作品を生んでいきたいですね。

  • リアル生放送

私のリアル生放送パートでは、新曲のモチーフを弾かせていただきました。終演後なかなかのご好評をいただけたのですが、あれは秋のM3で発表できれば…と思っております。

それ以外は皆さまから挙手のリクエストをいただいての即興演奏をさせていただきましたが、時間の関係上、一曲一曲を短く演奏させていただいたこと、申し訳なく思っています。楽曲のモチーフの取り合わせやバランス配分、テンションの制御などいつものリアル生放送のように行かず、少々自分の未熟さを思い知るところになりましたが、それも含めて楽しめたというお声もいただけたこと、つくづく支えていただいているなと感じました。もっともリアル生放送はそうした不確実性も含めて、全員で作り上げていく場とも思っているので、ある意味ではあの異常なまでの混沌を帯びた場が一つの完成形だったとも言えるかもしれません(こじつけでしょうか!)。

        *   *   *

皆さんの演奏を通して思ったのは、皆さんがそれぞれの形で私のオリジナルを超えていったこと。

私の音楽はまだ世にそれほど知られていないので、本来主張したかったものから形を変えて表現されることにはどちらかというと身構えてしまうところがあるのですが、自分を超えていってもらえるのなら、むしろ積極的に皆さんに表現をお任せすることを覚えた方が良いのではないか、と感じました。もちろん自分には自分にしかできない表現があり、それを磨いていかなくてはならないというのは言うまでもないのですが。あまり簡単に超えられないように、個性を高めなくてはという思いも、一層強くなりました。双方向から、良い音楽を発信していきたいですね!

プレバタ2があるかも、なんて話も出ましたが、どんな形にせよ今日の延長線上にある何らかの舞台を予感させる、そんな演奏会になったと思います。ありがとうございました!