読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

daybreak
New Album "daybreak" 2017/4/30 release


7/26 光田康典20周年ライブ「THE BRINK OF TIME」感想

二日連続のライブ観戦記。「THE BRINK OF TIME」7/26の夜公演を観て参りました。

…何から書けばいいのかな?

とにかく思い出補正も入れて良いのなら、人生で最高のライブ体験でした。正直、光田さんはkiRite(個人的最名盤)以降ちょっと活動の方向性が(プロデューサー寄りに?)変わってしまって、アン・キニュントに端を発するスレイベルズ・レーベルの作品群を買い揃えていた自分としては少し熱が引いてしまったところがあったのです。

ちょっと前に出たNHKスペシャル「宇宙生中継 彗星爆発 太陽系の謎」OSTが久しぶりのソロワークで、ぐっと注目度が戻ったのですが、以前のような密接な嗜好にはつながらなかった。…

そんな中で20周年と銘打って開催された今回のライブ。そもそも、光田さんのライブというのは見たことがない。kiRiteの舞台版を新宿シアターサンモールで観たときに光田さんが最後登場されて、サインをもらったのが生でまみえた唯一の機会である…あとは下村さんのライブにゲスト参加されてたときくらいか。この方がいきなりライブを打たれて、どの程度kiRiteの頃の感覚を戻されているのか?精力的にライブをこなされている他の方のステージに匹敵するものができるのか?

私は光田さんをなめていた。そりゃそうだ。彼はソロワークを離れて遊んでいたわけではない、私の見えないところで数多の場数を踏まれてきたわけだ。Millenial Fairは若手とベテランの融合した、途轍もないサウンドグループと化していた。そこから織り成される楽曲群は、kiRiteのようなオリジナル作品からクロノ・ゼノといったアレンジ演奏に至るまで、どれもこれも非の打ち所がないのだ。Twitterに書いたような原曲との調の違いなど本質的な問題ではないし、それを差し置いてでもあのメンバーであの曲を演奏することの方に意味があったと言われれば納得する、そんな出来だった。

何より、光田さん自身もステージの真ん中で、弦、鍵盤、パーカッション、コンピュータを駆使するプレイヤーだった。それがまた楽しそうに、しかも余裕を持ってこなしてしまうのだ。「Radical Dreamers」では吉良さんと二人でギターを弾かれていた。それで遜色ないサウンドを奏でてしまうのだから、打ちのめされた。私はこの光田さんの楽曲が好きなのだから、そのエネルギーを以てしてソロワークをもっと充実されてほしかった…などと変な未練?を感じなくもなかったが、もしかしたら現状(+α)くらいで丁度良いのかもしれない。

冒頭「予感〜クロノトリガー〜時の見る夢」に続き、2曲目は「MELKABA」!


イントロの野太いイーリアンパイプが野口さんによって奏され、リズム隊が加わって間もなく女性ボーカル3名のボイスが豊かに響き渡ったとき、ああ、負けたな、と思った(なんの勝負なのか)。とりあえず、やはり光田さんは声を楽器として扱うのが途轍もなく巧い。これを生で聴けてしまう…ふと目を前にやるとギターの吉良さんがリフを刻んでいる。ああそうか、往年のZABADAKはこんなサウンドを生で繰り広げていたのか。ここにマリンバなんかも加わってしまったりしてたわけで。…

いろんな思いが脳をかけ巡って正常な判断ができなくなっていったけど、とりあえずこの瞬間は…ピアノソロ、オーケストラ、エレクトロニカ、いろんな音楽を差し置いて、このMillenial Fairが音楽至上最高の編成のようにすら思えた。民族音楽、クラシック、ロックといろいろな音楽が時代を担ってきた、その集合体のように思えた。あの感覚はなんだったのだろうなあ。瞬間的熱病かそれとも。

この後「Sailing to the World」「ヴォルフィノーの市」「風の約束〜花片の行方」と続く。もはや反則である。


ヴォルフィノーの市ではイントロの笛の音…光田さんが穴の開いてないフルートと紹介されていた…名前は失念しました、あれを光田さん本人が演奏されたのに驚き、それもまた妙に嬉しいことでした。風の約束では、壷井さんのエレクトリック・ヴァイオリンソロがとんでもないことになっていて、パワーをまざまざと見せつけられました。

前半の締めは「邂逅〜闇の帷」。この時点でものすごい満足度でした。休憩中、受けた音楽的刺激をひたすらメモ帳に書きなぐっていたことしか覚えていません。書きなぐりすぎてあんまり読めない。

アン・キニュントの「オープニング〜つぐない〜魔王決戦」は選曲されたことは嬉しかったけど(地味にゲームはプレイ済み)、今までの素晴らしさに慣れてしまったことと、オープニング〜ラスボスという極度に圧縮した展開になっていたことから、思ったより感動できなかった。曲目が発表されたときには嬉しかっただけに、意外であるし、ちょっと惜しい気もした。むしろその後の「黒執事 Book of Circusメドレー」が、サーカス調の曲がそれほど好きでもない自分にとっても、アコーディオンのアレンジが秀逸なのも相まって素晴らしい出来に思えた。「Ring」は、原曲が六声?七声?なのを女性3名で奏されたことからさすがに原曲には迫らなかったが贅沢を言ってはいけない。

「BALTO」「Pain」辺りは、昔イタリアを旅行したときに西洋芸術の素晴らしさを立て続けに見た後で訪れたフィレンツェで、感動慣れしすぎたためかほとんど感動できなかったときの感覚に似ていた。これも惜しい。

しかし続いて、本編ラスト「希望の名は」。これは、唯一涙腺が崩壊しそうになった曲でした。私は8月に光田ホイホイというファン演奏会に出演しますが、この曲を選曲しようか随分悩みました(結果的に違う曲にしたのですが)。それくらい好きな曲であり、また泣ける曲であり、それでいてサウンドがとても春で、パワーが溢れていて…きらきらしているんですよね。kiRiteのストーリーに助長されている部分もあるとは思うのですが。


アンコールの「時の傷痕」はおそらく川崎での公演をベースにされていたのかな。期待に違わず素晴らしかった。続く「遥かなる時の彼方へ」では、これが生演奏されたことに言いようのない感動を覚えた。完全ラストの「LAHAN」では5+5+6+6拍子のタフな手拍子を皆でこなしながら、最後は吉良さんの音頭に乗って、声が枯れるまで歌った。…

ろくに読み返してもいないですが、このブログもまたよくわからないテンションで書きなぐってしまいました。それくらい熱を持ってライブを観られたのも久しぶりということかな。

最後に…僕が光田さんを本当に好きになったのは、クロノではありません。リアルタイムでプレイしたクロス、音楽を先に知り後から途中までプレイしたトリガー、兄がやっていたゼノギアスゼノサーガ。それまではクロノの曲の耳コピを中心としたやんわりとした受容と嗜好のみでした。しかし、あるとき光田さんのサイトで目にした「アン・キニュント」と「Sailing to the World」。ジャケット、フラッシュムービー、試聴音源。なんて素晴らしい世界観なんだろう。そのゲームのことを知らないのに、なんでこんなに引き込まれるんだろう。そのときが、光田さんを追いかけるようになった最初の瞬間なのです。いずれ同じようなCDを作っていきたいと思ったのも、光田さんがきっかけです。この精神的下地が、今回のライブで強く表層に引き出された気がしました。いつまで続くかは、光田さんの今後の活動にもよってくると思いますが、まずは10月に出るというクロノアレンジアルバムを楽しみに待ちたいと思います。

光田さん、活動20周年おめでとうございます。お体にだけはお気をつけて、願わくばこれからも私たちにその足跡を残してくださいますよう。