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daybreak
New Album "daybreak" 2017/4/30 release


M3-2015春 新譜アルバム『elementscapes』曲目解説

elementscapes

  1. 木の薫る町
  2. 風と土の旅路
  3. 闇に翠の灯る洞窟
  4. 光の塔
  5. 石の聖堂
  6. 砂塵の渓谷
  7. 安息のファンファーレ
  8. 時の眠る遺構
  9. 白の城塞
  10. 星の回廊

かねてから触れてきましたが、今回は近作のピアノインストゥルメンタル主体ではなく、オーケストラ・民族楽器・電子楽器等を用いた情景描写的な楽曲集となりました。一方でピアノを使った曲も4曲あり、ドラムスやパーカッション、トランペットの生演奏を用いるなど新しい試みもありますが、全体的にはファンタジー寄りな世界観への回帰が特徴的なアルバムとなっています。

各曲について

木の薫る町

サンポーニャを中心とした民族楽器による編成。小さな町のちょっとした賑わいといった風情ですが、跳ねるリズムのなかにも少々の哀愁を秘めています。

アルバム1曲目にして、実は全体的に見ると特異なサウンドの楽曲。最初はオーボエクラリネットも入ったクラシカルな編成だったのですが、Shin Miura氏(山脈さん)のカホンを取り入れたときにもう少し土着的な音作りの方が合うと感じ、方針転換しました。唯一残ったクラシカル成分であるバスクラリネットの音も残響をカットして用いています。響きの豊かなきれいな音作りが多い曲集のなかで、この曲だけは積極的に汚しにかかったというところでしょうか。このプロセスが難しく、シンプルな曲ながら最も時間のかかった曲になりました。

なお、ブックレットには山脈さんの担当をPercussionと記載していますが、前述のカホンと後半から薄く入るスネアドラムのみ、生演奏となっています。

風と土の旅路

昨秋のシングル『光の塔』収録曲。「木の薫る町」が町の風景なら、こちらは町を出たときのフィールドの風景とでも言いましょうか。この曲もある種の土着的な要素を持った曲ですが、ピアノやヴァイオリンといったクラシカルな楽器で表現しているところに違いがあります。全体的に静かな曲ですが、ヴァイオリンが歌うところでは実は結構盛り上がるのですよね。

闇に翠(みどり)の灯る洞窟

シングル曲以外のアルバム・プロダクションで最初に取り掛かった曲。『白の城塞』でイメージ写真を撮ってくださったHappachinさんのオフショットから逆にこちらがイメージを想起されて曲を書いたという、逆インスピレーションのような形で生まれた曲です。この写真は結果的にアルバム・ジャケットの左下に収まりました。

曲としてはタイトルの通り洞窟をイメージしていますが、暗いおどろおどろしさではなく神秘的な要素を強調しているので、実は闇よりも光を感じられる方が多い印象ですね。ふわりとした電子音を久しぶりにたくさん用いて、それらがことごとく狙い通りはまったのでかなり満足度の高い一曲となりました。

光の塔

Shin Miura氏のドラムスと私のピアノのデュオ。昨秋のシングルからアレンジを変えようかとも思いましたが、結果的にそのままの形で収まりました。

個人的には塔の曲というとプログレッシヴな曲をイメージしてしまいますが、この曲も類に違わずその路線に乗っかった感があります。

石の聖堂

聖堂は普通石で出来ているのではないか?と言われかねないタイトル。パイプオルガンに始まり、淡々とした弦楽アンサンブルが全体を支配しています。一曲のなかでさまざまな表情を見せるのですが、それらをあまり削らず、ほぼ最初のインスピレーション通りの曲進行となりました。ややもすると冗長なこの旋律たちが、いかにも聖堂の雰囲気にマッチしているのではないでしょうか?

砂塵の渓谷

今作のなかでは比較的早くから着想していた楽曲。意外に思われるかもしれませんが元々はピアノソロで書いた曲で、今のロックなアレンジが付いたのはアルバム製作期に入ってからです。ハリウッド的なリズムトラックやストリングス、少々のエスニック要素によってシンフォニックな印象の方が強いかもしれませんが、そういう楽器を普段から多く用いる自分としては、やはり随分ロックな曲に仕上がったな、というのが正直なところです。結果的にかなりお気に入りの一曲となりました。

安息のファンファーレ

以前出したシングル『Float Emotion』の収録曲。今作の中では最も古い曲となるでしょうか。トランペット奏者のmaiさんに入っていただくことによって、狙ったアンビエンスがぐっとプラスされました。タイトルにも現れていますが、いわゆる華やかなファンファーレではなく、穏やかな表情の方が特徴的な一曲です。

この曲のみタイトルに自然元素的な要素が入っていませんが、元々は某ゲームの航海BGMとして書いた曲ですので、海(水)のイメージ、ということになります。

時の眠る遺構

今作で一番最後に書いた曲。ラストダンジョンないしは一つ手前の、幾分非現実的な音像となっています。仮想RPGサウンドトラックというからには、やはりこの位置に一つくらい深刻な曲が欲しくなりますね。

後半の静かな音はパイプオルガンのようにも聞こえますが、実はシンセサイザーです。

白の城塞

昨春の発表時にも書いたかもしれませんが、やはりこの曲のテーマは、白という高貴かつ安心感のある色で緊張感のある場所を表現する、というところにあるのだと思います。このまま進んでよいのか、罠が張られているのか。情景描写でありながら、戦闘的な要素も含んでいるかもしれません。

星の回廊

アルバムの終曲。自分で言うのも変ですが、とても終曲らしい曲に仕上がったな、という印象です。曲中でいろいろなことを述懐しているような。アルバム・プロダクションのなかでは比較的しっかりとピアノを使っていますが、民族楽器・電子楽器を伴いつつも浮遊感のあるサウンドでまとめました。最後はテンポを落としたピアノ・ソロで、少々感傷的に曲集を結びます。