最近買ったCD
もはやこの記事も半年に一回ペースになっているので、一番古いものでは1月に買ったものも含まれていて全然最近じゃない気もしますが。
Propelled Life/IMERUAT
- アーティスト: Imeruat
- 出版社/メーカー: MONOMUSIK
- 発売日: 2014/04/01
- メディア: MP3 ダウンロード
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浜渦さんのユニットIMERUATの2作目は6曲入りのミニアルバム。前作よりもアイヌの土着色がだいぶ抜け落ち、一層ポップになったとも言えますが、それ以上にサウンドや構成が攻めており、形態も普通のアルバムではなくブックがメインであるなど…全くポップでないとも言える、不思議な作品。
構成が攻めているというのは、1〜3曲目がミディアム〜アップテンポ、4〜6曲目が1分少々の短い曲を含んだスローテンポ群…という、前後半でくっきり分かれている点。とはいえ全体が6曲20分少々なので、そんなに気にならずまとまった一作品として聴けてしまう。その辺りも面白いな、と思います。
今更ながら読了>RT TeNiOEの切符のくだりは正直理解できなかったのですが、こちらを読んで納得しました。しかしADHDの告白を含んだ表現だったとは、何ともとんでもない冒険をされたのだなと気圧される思いです
— VUTTER (@VUTTER) 2014, 1月 18
1曲目の「TeNiOE」について、ブックレットおよびライナーノートを読んだ後のツイート。こういう面でもすごい攻めてるというか、メジャーではないからこそやれる表現という気も。
でもやっぱり2曲目の「N-Chart」が一番好き。鈴木光人氏によるトラックメイクもさることながら、やはり吉祥寺ライブでの初演のインパクトが強かったように思います。パーカッション竹本一匹氏の暴れ狂う砂質パーカスが好きでした(渋谷ライブでは音響面の都合から自重されていて大変残念)。
3曲目の「Fei Fei Fei-Propelled」は楽しい曲調と裏腹に猛烈な変拍子で奏者は大変そうだろうなぁ、というギャップが面白い。そして何度聴いても浜渦さんの作詞というのが驚き。
4曲目の「ヴァルヴァーラの野望」では浜渦さんがパーカッションを担当されている。パーカッションというより、もはやフォーリーと言った方が近いかもしれない。
新譜の演奏者リスト「ザラメ&片栗粉:浜渦正志」にひとしきり笑った
— VUTTER (@VUTTER) 2014, 1月 11
5曲目の「野を越えて」は弦楽アンサンブルが美しい。「δ・ε・T_Comp1」の系統を継ぐ室内楽アルバムの発表が待たれます。
6曲目の「イメルア体操第四」については昨今体操イベントが隆盛。自分としてはどちらかというとこの曲はピアノソロとして捉えており、体操自体にはあまり興味がなかったのであるけど、浜渦クラスタに会いに行った折、横浜のイベントで一緒に体を動かしてみて、思えば自分も大学のミュージカルサークル時代にはこうやって皆で体を動かすのが楽しいと感じた時期もあったなぁ、などと懐かしい思いに浸りました(でもやっぱり大人数の後ろでこっそりでないと出来ない私)。
ボーカルMinaさんの技能によりIMERUATにはダンスのエッセンスが含まれますが、1st→2ndアルバムの流れにかけて、サウンドがポップになっただけでなく、コンテンポラリーダンス曲となった「Giant」から観衆巻き込み型ダンス(?)曲「イメルア体操第四」というシフトも見られるのは、このユニットの一辺倒では行かないぶっとび具合を良く現しているなぁ、と思います。IMERUATが単なるポップユニットで体操イベントで観客を巻き込んでいるだけなら僕もそんなに興味を持たないんですが、音楽的にも総合芸術的にもコンテンポラリーな部分をまず打ち出し、その上でポップスとの境目を行きつ戻りつしているところにある種の余裕を感じ、次作が待ち遠しいと思わせるのかなと。
RAY/BUMP OF CHICKEN
- アーティスト: BUMP OF CHICKEN
- 出版社/メーカー: トイズファクトリー
- 発売日: 2014/03/12
- メディア: CD
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BUMPを買うのはこれで五作目。前作のCOSMONAUTを買っていないので変化の過程ははっきりとは分からないのですが、今作を聴いた第一印象は電子音の多さ。元々BUMPは天体観測に端を発する宇宙的なモチーフが多いのであるし、こういうサウンドはむしろ良く合っていると思います。また、経験を重ねてまろやかになりつつあったサウンドに、良い意味での尖りを与えているとも感じました。
そのスケールの大きさで、誰もが一度は経験したような個人的な心の弱さであったり、部屋に独りで居るときの内面の叫びであったり(「部屋」という詞が頻繁に見られる)、そういったものを歌っているのがいかにもBUMPらしいと思います。耳に残った歌詞を雑多ですが列挙してみます。
- 寂しくなんかなかったよ ちゃんと寂しくなれたから
- 大丈夫だ あの痛みは 忘れたって消えやしない
ray
- 鏡の中の人に 好きになってもらえるように
ラストワン
- 次々襲いくる普通の日々 飲み込まれないでどうにか繋いでいけるように
トーチ
- 最近は別に元気じゃない それが平常で不満もない 生活に変化は求めない 現実とマンガは重ねない
- ただ怖いだけなんだ 不自由じゃなくなるのが
- 残酷な程自由だ 逃げようのない事実なんだ 震えるその手その足で 全てを決めるんだ
(please) forgive
その他良いなと思ったのは、「morning glow」のCメロに見られるコードワークと熱を帯びた歌い回し、「ゼロ」の幻想的な世界観、「Smile」の根底的な人間性と芸術性の高さ、「firefly」のキャッチーな曲調と爽快なビート感の中にある大きな感傷、「white note」の力の抜けた休日感と楽しさ。
そして「(please) forgive」が、上手く言えないのですがすごく琴線に触れるものを感じました。アルバムのなかで特別目立つ曲じゃないんですが、ミディアムなテンポのなかに、直接的な感傷表現をした曲よりも強い感傷を感じるというか。あとは音色の選び方やエフェクトにすごく浮遊感があって、"飛行機"という歌詞にリンクしているようにも思いました。
交響組曲ドラゴンクエストVI 幻の大地(都響版)/すぎやまこういち
8月に交響組曲ドラクエ6のコンサートがあると知り、チケットとともに思い立って購入。自分にとっては最も長くプレイしたドラクエシリーズであり、思い入れが深いという理由だけかもしれません。特に6は原曲(スーパーファミコン)での崎元さんのサウンド・メイキングにより、ドラクエらしからぬビート感を随所に織り込まれているのが魅力的なのであり、交響組曲では特にバトル曲などがどうしても聴き劣りしてしまう、というのも正直なところなのです。
その中にあって一般に紹介するにも魅力的なのはやはりオーケストラだからこそ映える曲であって、たとえば「エーゲ海に船出して」、たとえば「ペガサス〜精霊の冠」、たとえば「時の子守唄」。8月のコンサートの主目的はやはりこの辺りの楽曲になりそうです。思うにドラクエ6のバトル曲を中心とするあのビート感は、後々ドラクエ7以降の交響組曲でドラムセットを使うようになった始祖でもあると思っていて、そういう意味でバトル曲だけでも7以降と同じ編成のオーケストラ・アレンジを切望しているのですが、完成した譜面に重きを置くドラクエにおいては少々難しいかなとも思っております。
NHKスペシャル「宇宙生中継 彗星爆発 太陽系の謎」オリジナル・サウンドトラック/光田康典
NHKスペシャル「宇宙生中継 彗星爆発 太陽系の謎」オリジナル・サウンドトラック
- アーティスト: 光田康典
- 出版社/メーカー: 有限会社プロキオン・スタジオ
- 発売日: 2014/04/30
- メディア: CD
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光田さんの久しぶりのソロワーク!タイトルが長いので番組内のメイントピックであるアイソン彗星から「アイソン」と呼称されることが多いです(ファンの間では時に誤って「宇宙大爆発」とも)。
サウンドとしてはNHKスペシャルでしばしば見られるスタジオ・オーケストラが主体ですが、宇宙を扱った題材ということもあり電子音も頻繁に登場します。特にアルバム後半(Analysis Partなど)は打ち込み主体の曲も多く、少しアナログな暖かみのある電子音などが散りばめられており、特にクロノやゼノで見られる未来的な世界観を好きだった方には共通項のツボなのではないかと。一方で完全な打ち込みかと思いきや、曲中で白玉の生音ストリングスがグワッと入ってくる「Mission 〜挑戦〜」などの曲もあり、新旧が魅力的に融合された名盤と思います。
光田さんのサイト内で全曲試聴ができます。
1曲目のメインテーマ以外ではオーボエ(コールアングレかも?)やチェロの美しい「遠い宇宙」が人気のようですが、個人的には「人類の進化」での美しい女声ボイス(真骨頂ですね)、「Analysis Part 3 〜過去〜」の透明かつ壮大な空気感などが好きです。どの曲を聴いてもドキュメンタリ感があるし、一方でゲームの中で流れていてもおかしくなさそうなのは、やはり物語性のある題材に付随する音楽として共通する部分があるからかもしれませんね。ニュース番組等でゲーム音楽がBGMとして選曲されることが少なくないのも、この辺りの理由と無関係ではなさそうです。
ところでNHKスペシャルの特設ページを見るとタモリと光田さんが同一ページに居て、何とも不思議な感じがいたします!